NIKON
 F-801
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1980年代後半から90年代前半まで、すなわち一眼レフカメラにAF機能が組み込まれ始めて以来10年の間、ニコンのカメラデザインは最悪であった。ニコンにとってその10年はキャノンへの敗北の歴史でもあった。
この時期のニコン一眼レフには全く興味が無い。理由は格好悪いからである。ましてや自分で所有するなど考えたことも無かった。このF-801を買うまでは。
某オークションに出店しているカメラ屋が初期型ニッコール28mmF3.5のフード付きを出品していたので入札。ついでにそこが出品しているその他のカメラを眺めていたら、見つけてしまったのだった。
F-801が妙に安い...
同時に出品されていたキャノンのT50と値段がかわらないのである(結局最終的な落札価格もあまりかわらなかった)。F801とT50ではカメラの格が違いすぎる。T50がエントリーモデルなのに対してF801はハイ・アマチュア向け、F4の直ぐ下という位置づけだったはず。なんせ最速1/8000秒ですよ。
別に使うアテは無い。無いのだが安いとなればちょっと入札してみようかという気分になってしまう。コレがいけないのだが、またやってしまったのだった。
結果、安値で落札。2日後には早々と手もとに届いた。
この時代のカメラが気に入らないのは、外装プラスチックの質感。F801も例に違わずつるつるテカテカで安っぽく軽い(実際はかなり重いカメラだが)。裏ブタを開けるとそのペラペラさ加減にウンザリする。1/8000秒の最高速にその手触りがまったく追いついていないのだ。
しかしレンズをつけファインダーを覗くと、そのマイナスイメージはかなり払拭された。ハイアイポイントのファインダーは明るくピントのキレも良い。バッテリーボックスを開けると、なんと使用するのは単3電池4本(後継モデルのF-801sではリチウム電池使用になる)。New EOS Kissに単3バッテリーパックを付けて使っている小生としては、これはありがたい。
電源を入れ、シャッターボタンを半押しにしてAFを駆動させると、その激しい作動音に肝を冷やすことになる。フィルム巻上げ音も甲高い。このあたりの音のチューニングと静音化の技術は1990年代後半以降急速に発展したのだとつくづく思い知らされる。
何度も言うが、最高速は1/8000秒。そんなの使うときがあるのかと思っていたが、あれば無理矢理にでも使うもので、感度1600のフィルムで真昼に無限遠開放で撮ってみた。そうする必要があったのではもちろんない。
AFのニッコールレンズは1本しか所有していない。それゆえ主に使うのはマニュアルのAiレンズ(非Aiレンズは使用不能)。暗いレンズでもそこそこピントがわかるし、フォーカスエイドもある。Aiレンズの場合は中央重点測光になるが、AEロックはやりやすい。もちろん絞り優先AEで使える。最近調子の悪いF3の出番がますます減るだろう。ニコンらしい手堅い作りのこのカメラ、意外と使い勝手があるのかもしれない。
AF MicroNikkor 60mm F2.8。所有する唯一のAFニッコール。細部の細部まで写しとる恐るべきレンズ。Dレンズになる前のモデルなので、F801と同時代のレンズということになる。
5分割マルチパターン測光はそこそこに優秀なので、三脚に固定した場合、安心してAEのままシャッターボタンが押せる(スポット測光に近いF3の中央重点測光では多くの場合そうはゆかない)。
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